2015年10月28日水曜日

現代版栄養失調の難しさ

現在の飽食の時代の栄養失調は、昔の栄養失調と比較にならないくらい複雑です。

たとえば、昔は、ビタミンB1が不足すれば脚気になり、ビタミンCが不足すれば壊血病になるといったように、単一の栄養素欠乏による栄養失調が中心でした。

現在は、より複雑な「複合栄養素失調」がほとんどです。

もちろん、現在でもビタミンB1が欠乏すれば脚気になることに変わりはありません。ただ、そのような単一栄養素の欠乏というケースがほとんどないのです。

つまり、ビタミンB1が欠乏しているだけでなく、ビタミンCも、ビタミンEも欠乏しているといったように、いくつものビタミン、あるいはミネラル類が同時に欠乏しているケースがほとんどなのです。

ですから、昔の壊血病のように、レモン汁や生野菜を食べたらよくなった、といったような簡単なことではすまなくなっています。

また、現代の日本人に、どのような栄養素が欠乏しているのか、それを調べる方法、検査法は現在のところありません。

健康のためには、具体的にどのようなビタミンやミネラルがどれだけ必要なのか、まだ正確にはわかっていないのですから、何が不足しているのかわかるはずもありません。

よく、TVのCMなどで、「現代人はビタミンが不足しています」といった言葉を耳にします。たしかに現代人には、ある種のビタミンが不足しているに違いありません。しかし、どのビタミンが不足しているのかわからないのに、どのようりに補えばよいのかは、言葉でいうほど簡単で単純ではないのです。
ライフスタイルによっても変わってきます。

つまり不足したものを補うという考え方ではなく不足しないような食物の選択、調理法、食べ方が重要になってくるのです。