現代の食生活について、さまざまな情報が氾濫し、混乱していますが、決して部分的な問題ではなく、生活全体の非常に重要な課題です。
健康問題を考えることは、本当は食生活を含めたライフスタイル、生活全体を考える総合的な問題だということです。
それでは、多くの情報が混乱し錯綜している中で、私たちはどういうふうに食生活を考えればいいのか- その指針となる考え方、大きな物差しをこれからお話ししょうと思います。
何を指針にするかということですが、現代の日本では、食についての情報が本当に混乱しています。たとえば、こんなエポソードがあります。
名古屋へ仕事に行ったときに泊まったホテルで、「朝、希望の方には玄米粥を用意します」なんてエレベーターの中に貼り紙してありました。
それに、ホテルの中華料理屋さんのメニューに、いわゆる薬膳というものが載っていました。そこに「中国医学の先生が、あなたに合ったメニューを特別アレンジします」と書いてあるんです。
玄米粥もあれば、薬膳もある。いったいどちらを食べればいいのか、客のほうは迷うだけです。
一言で言えば、これは新型グルメだと思います。情報が混乱している中で、いったい何を食生活の指針にすればいいかが、わかりにくくなつています。
食生活はその地方によってみんな違う、ということです。そして、数多く何でも食べることがバランスのとれている食事だというのは、少し違うかな?という気がします。
もし、一日30〇品目何でも食べることがバランスの良い食事ならば、それが普及しますから、鹿児島に行っても沖縄に行っても、みんな同じものを食べるようになるわけです。でも、それが理想だというのはあまりにも健康とはかけ離れているように思います。たとえば沖縄に行ってみると、沖縄の食事はさすがに脂っこく豚肉が多いと感じます。うんざりしてきて、3日もたつとお茶漬けを食べたくなるぐらいのくどさです。でも、「ああ、沖縄に来ているんだな」という気分になります。
それで、バランスの良い食事という概念に疑問を持ったわけです。それぞれの地方には、それぞれの食事があるわけです。そこで、「フードは風土が決めるのではないか」と思うわけです。
沿岸部では魚をたくさん食べ、山間部ではキノコや山菜を多く食べるのも地産地消といえるかもしれません。
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