2013年7月5日金曜日

トウモロコシの一番上手な食べ方

主食を丸ごと食べていた例をさらにいくつか挙げます。南米のトウモロコシを主食にしている国では、日本人のように、ゆでてかじったりはしません。保存の問題もありますが、それだけが理由ではありません。
トウモロコシをゆでてかじるのは、おやつだからなんです。でも、トウモロコシを主食にしているところでは、そんな食べ方はしないんです。
日本でも山梨県の一部には、トウモロコシを主食に近いほどよく食べてきた土地があります。そういう土地で、トウモロコシを食べるときは、手でほぐして、さらに粉にしてから食べかんです。粉をこねて、まんじゅうをつくるか、お好み焼きのようにして焼いて食べたわけです。
なぜ、トウモロコシを主食として食べるときは、いちいちほぐして粉にするのかというと、そのままゆでてかじってしまうと、トウモロコシの芯に胚芽の部分が残ってしまうからなんです。縁日の焼きトウモロコシがわかりやすいですね。かじると、芯に黄色いものが残るでしょう。あれが胚芽なんです。主食としてトウモロコシを食べていた人たちにとって、胚芽を残すような食べ方は、もったいなくてできなかったんですよ。
また、魚を丸ごと食べる例は数多くあります。とくに、北海道に住んでいるアイヌの人たちは、かつてシャケを主食にしていたときがありました。その名残で、今でも北海道に行くと、シャケ料理として、氷頭なますなど、骨を薄く切った食べ物があります。
また、お土産屋さんに行くと、メフンといって、シヤケの肝を塩漬けしたものもあります。塩辛みたいなものですね。その背景にあったのは、健康のためではなくて、もったいないという知恵だったんだと思います。
ここで、整理してみます。食生活を考えるときに大切なのは、一つ目は、その土地、その季節にとれるものを食べればいいということで、二つ目は、なるべく丸ごと食べられるもののほうがいいということです。例外はあるんですよ。「フグはどうやって丸ごと食べるんだ」と言われたことがありましたけれど、たしかにフグは例外なんです。ところがこれは余談なんですが、「フグは例外です」と言ったら、富山県の人が私に猛毒のフグの卵巣を送ってくれたんです。
卵巣が糠漬で二年、塩漬けで何年というふうに基準になる年月漬け込んで、検定印をもらって、はじめて食べられるそうです。高いそうですよ。
後で笑ったのは、何で二年で大丈夫だとわかったんだろうということでしたね。
考えると愉快だと思いませんか。多分、食べて痛い目にあった人がいたんですよ。
こうしたことが、伝統的な食生活の知恵なのではないでしょうか。「丸ごと食べる」ことがいいと思っていれば、大きな間違いはしません。さて、土産土法という二つの基本指針をベースに考えるのが間違いないようです。

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